7、憧れのスピードスター

大学時代は金は無いが時間だけは大量にある言わば黄金時代だ。私はその4年間を学業に捧げず友人との享楽に費やした。

遊びは主に私と山ちゃんと平塚の3人で執り行われ場所は山ちゃんちと決まっていた。
3人の年頃の男達が集まって何をしていたかというと殆どがテレビゲームで、みんなコナミから出ているウィニングイレブンに熱中していた。サッカーゲームである。

山ちゃんはイタリア、平塚はオランダ、私はナイジェリアを使いこなし皆サッカーに詳しくなっていた。選手選手に思い入れを込め激しく争った。
特にナイジェリアにアモカチというスピードスターがいた。山ちゃんも平塚も一目置いていた選手である。この選手が曲者でボールが彼に渡るとその選手のスピードから2人は悲鳴を上げ私はしてやったりであった。

このアモカチが我々の間に一大ムーブメントを巻き起こした。なんでもかんでも語尾に「〜カチ」という接尾辞を付け始めたのである。
深夜、ゲームに一息ついてサイゼリヤに飯を食いに行くと出てきたハンバーグに「肉カチ」と言ったり、遊んでいる部屋に猫が入ってくると「猫カチ」と言ったり、とにかく「〜カチ」はバカ流行りした。いやバカ流行りというか我々はバカであった。

この一連のグルーヴを20年位経った今、近所で会った山ちゃんに漏らすと「あったよね、そういう文化が」と顔を仄かに赤らめて笑いながら返してきた。
かつてのくだらないブームも今となってはいい思い出に変わるのである。
皆さんも日々大切に生きましょう。