11、しょんべんライダー

電車の中で尿意を催すことほど厄介なものはない。
催してしまったら一種の修行だと思って諦めてしまおう。耐尿道の修行だ。
だって我慢するしかないではないか。

友人達と一緒に乗っていたとしても涼しい顔して尿意を我慢するのだ。そんなことはどこ吹く風、皆と一緒に談笑し、どのような話題であっても何ということはなく会話をするのである。
時には「いかにして尿意を我慢するか」という逃げ場のない話題に直面しても笑顔を絶やさず歓談するしかない。この場合、単に尿意を我慢する能力が向上するだけでなく、いかにして自分が避けたい話題であっても笑顔を絶やさず議論するかという胆力も鍛えられる。

そうは言いながらこの修行道は厳しいものである。
私は以前成田線内で猛烈な尿意を体験し我慢の末、力尽きガラガラの車内で放尿してしまった苦い過去がある。
一人サラリーマンと思しき紳士が座席に座っていたが、つーと流れてくる私の尿に気付かず必死にノートパソコンと格闘していた。
要するに私の完全勝利である。

諸兄においてはこのようなことの無きよう常日頃から尿意をうまくコントロールして生活してほしい。