1、Yちゃんにまつわるトラウマ

私の女性遍歴は華やかなものではなく初めて付き合ったのは24歳のときであった。
相手は19歳の通信制の高校に通っている妖艶な女の子で、森高千里にうっすら似てるかわいい娘だった。Yちゃんとしておこう。

当時の私はまだクルマを運転していて、よくドライブなんかした。
印象に残っているのは蓮沼の海岸に行った時で車を降りて砂浜を歩いているとYちゃんは突然「バカヤローーー!!」と海原へ向けて叫び出した。
何事かと思ってYちゃんの顔を覗くと「てへへ、よだれ出ちゃった」などと全く可愛くなく、なんだか大変なことになったなと内心頭を抱えた。
帰りの車の中では「ねぇ、白味噌赤味噌どっちが好き?」ととんでもないことを聞いてきたので「え、どっちって・・・」と口ごもると「そうかぁ、私あんまりカフェオレ好きじゃないんだぁ」と支離滅裂な答えが返ってきた。
Yちゃんのクスリのパワーは確実に上がっていた。

そんなある日またまたYちゃんとドライブしているとどうも様子がおかしい。なんだか口数が少なく隠し事をしている風に見えた。直感でそう感じ「どうしたの?」と聞いてみると「前カレと会ってね・・・」とYちゃん「うん、それで?」ちょっと不安を感じ聞いた「Hしちゃった」。
がびーん。前カレとHしちゃったですと!?やーくそくはいらーないわー頭の中に椎名林檎が流れ始めた。はたされないことなどだいきらいなのー。林檎ちゃんの熱唱は止まらず私はたまらず車のギアを5速へと入れた。

車は猛スピードで成田バイパスを走り抜ける。
「怖いよ・・・」とYちゃん。そんなこと知るもんか。こっちはめちゃくちゃに頭が混乱している。Yちゃんの放ったメダパニ発言ですっかり混乱し、私は今にも前を走る軽に突撃したくてたまらなかった。

その後の事は書けない。脳が思い出すことを拒絶している。「ああ、山口に酷いことがあったんだな」と想像してもらいたい。